28、未だ


 全面戦争はもう目の前となっていた。
 帝国軍との局地戦争は毎日のように勃発していたが、舞台で例えるならそれは序章に過ぎない。革命軍は本番を目の前に綿密な作戦会議を行っているが、リーダーであるイオには焦りがあった。
 二日前、帝国軍に突然襲撃された。女子供関係無く本陣に降り注いだ矢の雨は大量に罪の無い人間を虐殺し、多大な被害を被る結果になった。その際、革命軍にとっては希望にも近かった元帝国騎士であるソラがいなくなった。
 ソラが最後に見せたあの凛とした笑顔をイオは初めて見た。いつも何処か拗ねたようなぶすっとした顔でいて、時々皮肉そうに笑う。精神が破綻していた時は背筋が冷えるような幼い笑顔を見せる事もあったが、最後に見たものはそのどれにも当て嵌まらない。
 あれは、強がっているように思えた。


――お前が光を求めるなら、俺は闇に身を沈めこの手を血に染めよう


 違う、そんな事を望んでいるんじゃない。何で全部一人で背負い込むんだ。お前が守りたいと思っているように、俺達がお前を守りたいと思っていると分からなかったのか?
 いつまでも話し合いは進まずにループしている。本当は今すぐに総攻撃を掛けてしまいたいのだ。ソラを連れ去ったと言う事は何か目的があっての事だろうからきっと、すぐに殺される事は無いだろう。でも、その対応次第では何時殺されてもおかしくない。目的はどうせ、帝国に戻れとかその程度だろう。ソラは絶対に帝国には戻らない。だが、断ったソラはどんな仕打ちを受けるのだろうか。
 こんな時にソウジュがいれば、この状況は大分マシだったかも知れない。話し合いも進んだだろうか、今頃戦闘準備を始めているだろうか。
 でも、いない。二日前、死んだ。


――平和な世界、見たかったなァ……


 ここまで戦って来たのは、あんな風に死なせる為じゃない。守りたかったのに、守られてばかりいる。助けたかったのに、死なせてばかりいる。

 話し合いが進まないのは、攻撃の為の準備が整わないからだ。確かに、帝国との衝突を度々繰り返している中で総攻撃の準備をしろなんて言うのは無茶だ。事実、奇襲を受けた本陣は既にガタガタだ。
 でも、やらなければならない。そうでなければ、また、失ってしまう。

「全面攻撃を開始する」
「無茶です!」

 言えば、すぐに声が上がる。何でこんな事ばかり早いんだ、苛々する。

「やるしかないんだ!」
「まだ戦闘体勢は整っていないでしょう! それに……」

 支部のリーダーの声がくぐもった。

「ソラ=アテナもいないのに――……」

 途端に皆の顔色が変わった。ソラの事をあれだけ蔑んで来たくせに、調子の良い。こんな時だけ利用するのか。

「そういえば、そのソラ=アテナはどうしたんだ」

 誰か一人が言った。二日前から姿を消した少年の異常なまでの存在感は突然消え去っている。

「寝返ったんじゃないか」
「元々裏切り者だからな」
「だから、信用ならないんだ」

 囁き合う面々、イオの頭の中でプツリと何かが切れる音がした。

「ふざけんなァ!」

 ダン、と机を叩く音がテントの中に響いた。室内は水を打ったように静まり返り、イオは苛立ちを隠そうともせずに席を立って出て行ってしまった。



 その頃、革命軍の本陣に部外者が二人入り込んでいた。一人はスッと何処かへ消え、もう一人は迷わずにあるテントへ向かう。手にはナイフが握られ、背中には矢筒と弓がある。テントの傍に息を殺して近付き、入口から中を覗う。中には――少女が、一人。アルスは眉を寄せた。
 覚えのある少女だった。ソラが誘拐したと言われている、帝国の第一王女。

「ソラ?」

 気配に気付いたサヤが入口に目を遣る。アルスは小さく溜息を吐き、姿を現した。

「貴方は?」

 翡翠のような双眸がきらりと光る。
 アルスが最後に見たソラは、既に精神崩壊していた状態だった。笑いながら剣を振り翳すような男に連れ去られた少女――には、見えなかったのだ。

「サヤ=レィス=ルーサー。何故、ここにいる」
「何故って」

 サヤは困ったように眉を下げる。

「ここが、ソラのテントだもの」
「――どうして?」

 アルスは眉を寄せる。

「お前は誘拐された王女だろう?」
「違うよ、あたしはソラに助けられたの」

 その誤解にはもう慣れているサヤは、穏やかに否定した。

「ソラはそんな人じゃない」
「あの男は悪魔だ」
「どうしてそんな事を言うの? ソラの何が分かるの?」

 チリチリと焦がすような怒りがサヤの目に映っている。アルスは笑った。
 目を閉じれば思い出す。あの雪深い山奥の山村を血に染めた男、家族や友達や仲間を冷たく地に伏せた男。あの姿を見て、悪魔以外のなんだと言うのか。

「私の故郷を滅ぼした男だよ。人を笑いながら殺す悪魔だ」
「故郷?」

 アルスはサヤを睨む。温室育ちのお姫様に分かってもらおうとは思わない。だけど、ソラを地獄に落としてやりたいと憎悪に染まった心が囁く。
 ここでサヤにソラの正体を教えれば、あの男の居場所は無くなる。意地の悪い感情が火を吹きながら笑っている。

「私の故郷は雪山の奥に有る小さな山村だった。其処にあの男は現れ、皆を惨殺していった。自らの白装束を真っ赤に染め、去って行く時には証拠隠滅して行ったよ」

 ソラが殲滅した雪山の奥に有る村。サヤは、その言葉に覚えがあった。

(――あの村だ)

 帝国にいた頃、初めての指令でソラが頭から被ったように血塗れになって帰って来た事があった。全ては帝国の王とレナードの仕組んだ事だった。反乱分子の潜む村に帝国の使いと言う騎士を送り、襲い掛かって来る村人を逆に殺してしまったのだ。
 思えば、あの頃からソラは修羅に落ちる片鱗を見せていた。


――何で生きてんだよ…、俺は! 何十人も殺して傷付けて、何で生きてんだよ! 本当に死ぬべきは俺なのに! 何であの時、殺してくれなかったんだよッ!!!


 元々、精神的に強い人ではなかった筈なのだ。

「その時、ソラは本当に笑っていた?」

 サヤは静かに訊いた。怒っている訳でも、泣いている訳でも無い。ただ、少しだけ哀しそうに、淋しそうに。
 アルスは、その言葉を聞いて考える。思い返すあの男は、血を浴びて――。

 本当に、笑っていた?

 微笑んだサヤは、酷く儚い。そのまま空気に溶けてしまうんじゃないかと、リアルな錯覚さえ抱かせる。

「ソラは笑っていなかったでしょう。あの時、ソラは泣いていたんだよ」
「泣いていた? 馬鹿な」
「本当よ。貴方の村は、帝国の反乱分子として処分されたの」

 その瞬間、アルスの右手が上がってサヤの頬を打った。乾いた音が響き、白い頬に朱が差す。

「ふざけるな!」

 怒りに包まれた右手が熱く、震えている。だが、サヤは顔色一つ変えなかった。真っ直ぐに向き合う瞳、底知れぬ強さを感じる。

「貴方は、生まれた事を死ぬ程後悔した事がある?」

 それは、どういう意味だ。
 問おうとしたアルスの声は空気に溶ける。

「生まれなければ良かったと、泣き叫んだ事があるの?!」

 サヤの瞳から、涙が落ちた。

 二日前、突然ソラが消えた。酷い怪我を負っていたのに、何も言わずにいなくなった。
 いつも、そうだった。自分が傷付く事は気にしないくせに、サヤが傷付く事を極端に恐れている。守る為なら簡単に自分さえ殺してしまう。
 傷付いて欲しくないと願っているのは、自分だけだと思った?

 アルスは動けない。頭の中でフラッシュバックする惨劇で見たソラの表情、重なるサヤの言葉。
 通り過ぎる、嘗て村で見た光景。頻りに周囲を確認しながら集まって会議をしていた。あれは、何の会議だった? 始めに襲い掛かったのは、本当にソラだった?
 本当にソラは笑っていた? 泣いていた?

 悲鳴が聞こえる。泣き声が聞こえる。――泣いていたのは、誰だった?

 あの時、悪魔だと罵ったのは――まだ、二十歳にも満たない不完全な少年だったんじゃないか?
 悲鳴が、泣き声が、怒号が、足音が其処等中から聞こえる。何だこれは。

 アルスはふとサヤの座っているベッドのサイドテーブルを見た。小さな蝋燭の元に、白い布の包みが一つ無造作に置かれている。何かが訴えている。アルスがその一点を凝視している事に気付いてサヤはその包みに手を伸ばした。
 ゆっくりと開くと、サヤにとっては懐かしい、見覚えのあるリューヒィの眼鏡が現れた。どうしてそれがここにあるのか、とか。そんな事はどうでもいい。込み上げて来る涙が止まらない。
 銀縁の、血痕の残るレンズに罅の入った眼鏡。アルスはその主を失った遺品から声を聞いた気がした。

「リューヒィ」

 ソラが殺した、帝国の科学者の名前だとぼんやり思った。何を訴えているのか、アルスには分からない。ただ、酷く切なく、身を裂くような声で訴えているのだ。助けて、と。助けても何も、持ち主はこの世にはいない。
 サヤは布越しに眼鏡を抱き締めている。

「リューヒィ=ヴァイサーを知ってる?」

 アルスは頷いた。

「リューヒィはソラの親友よ」
「親友を殺したのか」
「リューヒィはレナード=ルサファに斬られ、ソラに楽にして欲しいと願ったの」

 翡翠の瞳が、真っ直ぐに向かって来る。痛いくらいに澄んだ瞳だ。
 誰より尊敬する人に裏切られて、誰より信頼する親友を殺させられたと言うのはどれ程苦しかっただろうか。そう、苦しかったのだ。呼吸すら出来ずに、どうしてまともでいられるだろう。
 カラン、とナイフの落ちる音がした。



 怒って会議の開かれていたテントを出て行ったイオの背中を小走りに追う姿が一つ。

「イオ」

 呼ばれて振り返ると、リーフが追って来ている。目の下には隈があり、少し痩せたようだった。この二日間で一体何百人を弔って来たのだろうか。

「何を焦ってるんだ。ここでしくじれば全てが終わるんだぞ。俺達が負ければ残るのは地獄だけだ。第一、ソラはどうした」

 やつれた顔で笑顔を作っているのがいじらしい。イオはそっと腰に差した剣に触れた。一本は自分のものだが、もう一つの黒い刃を持つ剣。あの日、ソラが置いて行ったものだ。
 大切なものだと言って、置いて行った。どうして持っていかなかったんだ。

「ソラは、いない」
「何処に行ったんだよ」
「……恐らく、帝国に」
「本当に――」

 リーフの目に驚愕が映り、咄嗟にイオはその胸倉を掴んでいた。胸にぶら下がっている十字架が微かな音を立てる。

「あいつは裏切ったんじゃない!」

 事情はイオだって知らない。でも、あの状況で裏切ったとは逆立ちしたって考えられない。
 イオの手から力が抜けて行く。最後に見たあの笑顔、凛とした瞳、冷静な声。全てがセピアに染まりながら通り過ぎて行く。どうして、あんな顔をした。如何して助けを求めない。どうして、全部独りで背負う。

「どういう意味だ?」

 リーフは小首を傾げつつ開放された服を整える。十字架がまた、微かな音を立てた。二人が向かい合っているその現場に、一人の少女が砂を踏み締めながら近付いている。
 シルフィは、イオを見た。

 二日前、ソラがカルファーと話しているところに立ち合わせていた。カルファーは気付いていないようだったが、ソラは一瞬目を向け、知らん顔した。もしも発見されていたら今頃生きていられただろうか。
 二人が交した約束は、ただの口約束だ。本当にカルファーが守るかどうかなんて、シルフィだって分かる。それでも、ソラも分かっていながらそれを信じたのだ。彼等を守る為に。

 シルフィには、ソラがどういう人間なのか分かっていない。ただ、アルスにとって不倶戴天の敵であると言う事だけが全てで、初めて会った時に常軌を逸した力で弾き飛ばされた。その時の目はまるで硝子玉のように虚ろで、何処か少しだけ淋しそうだったのだ。
 どうしてあんな風に傷付きながら、存在している事を否定しながらも生きなければならないのか分からない。鬼や悪魔と呼ばれる男が、どうして泣きそうになりながら剣を振っていたのか、分からない。

「庇ったのよ」

 シルフィの出現にイオとリーフは目を丸くした。

「帝国の騎士と、ここに手を出さない約束をして自分は帝国に下ったの。馬鹿よね」

 驚いていた筈のイオの紅い瞳に、ふつりと怒りの炎が灯る。

「馬鹿よ。そんな約束を相手が守る訳無いって、あたしでも分かる」

 でも、あの状態で断れば二度目の攻撃があった事は間違い無かったのだ。そうしたら、イオやリーフはもちろん、サヤも死んでしまっていたかも知れない。被害は現在以上だっただろう。

「それでも、信じたかったの?」

 シルフィは、首を傾げる。
 自分以外の全てを守りたかったのだろうか。それを守る為に自分の命さえも犠牲にして、塵のように捨ててしまっても守りたかったのだろうか。

「信じたかったんだよ」

 イオは言った。怒りだった筈の炎は、強い意志を感じさせる。これが革命軍のリーダーなのだ、とシルフィも理解した。

「あの人は、何なの?」
「君の見たままだよ」

 リーフは、はっきりと言った。黒曜石のような瞳が真っ直ぐシルフィを見つめている。イオは既に背中を向け、また会議の行っていたテントに引き返して行く。その背中に、シルフィは訊いた。

「何故、戦うの?」

 イオは、振り返る。その姿に、あの日のソラを重ね見た。

「戦いを終わらせる為に」 『守りたいものがあるから』

 イオの言葉にソラの声が重なった。この二人は似ている。そうやって傷付き歪みながら、それでも人の為に戦うのだろうか。
 それきり、イオの背中は小さくなって行った。



 一方、帝国もまた全面戦争に備えて動き出していた。多くの兵士や騎士が諸国から集まり、鬼のような強さを持つ軍隊が列を成す。殺気立つその群れを王宮からカルファーは見下ろし、止めていた足をすぐに動かす。
 間も無く始まる戦争が最後になるだろう。カルファーも当然、その軍の中に加わらなければならないのだが、王宮の護衛部隊の一員として特別に待機している。
 赤絨毯の上を歩いていた足は自然と草生す中庭に降り、あの塔へ向かっている。ソラを閉じ込めて丸一日、あの小男は王直属の拷問部隊の男だ。どんな屈強な人間も一日も経てば悲鳴を上げ、情報を全て吐き出すと言う。

 カルファーがその重い扉を開けると、途端に咽返るような血の臭いが零れ出した。中から聞こえる怒号、肉を打つ音。暗闇の中で蠢く影が数体、その中で一つ、身動き一つしない影が横たわっている。
 扉が開かれた事によって闇が一部晴れ、中にいた先日の小男は揉み手で近付いて来た。その手には、血液が染み込んでいる。

「ソラは」

 問うと、小男が道を開けた。足を踏み入れると硬質な音が闇の中に反響する。酷く不気味だ。この拷問部隊も、ソラも、こんな暗闇の密室に閉じ篭って気が狂ってしまわないのか。
 小男が蝋燭を灯した。照らし出された石の床、見れば其処等中に血液が黒い染みになって残っている。

 両手を拘束されたままの、銀髪の少年がうつ伏せで倒れていた。
 蒼白かった肌には目を背けたくなる程の量の痣や切り傷が刻み込まれ、銀色の髪には血液の赤が混ざっている。カルファーが付けた掌の裂傷は当然消毒も縫合もされずに放置され、僅かに流れている血液によって潤んでいた。
 拷問に関わっている一人の大男がその後頭部を掴んで顔を上げさせる。蒼い瞳は固く閉ざされていたが、様子が違う事に気付いたのかゆっくりと開いた。
 蒼い瞳の底、鬼火が踊っている。

「堪えただろう?」

 ソラは反応を見せない。

「一言、帝国に忠誠を尽くすと言えば開放されるんだぞ?」

 少し遠くなった耳で、ソラはその言葉を拾い上げて笑った。カルファーの背中を何か、冷たいものが走る。

「あのひとは、うらぎれねぇ」

 掠れたような声でソラは言った。
 あの瞳の中の炎は、消せない。この異常な状況でどうして笑える。爪なんか一枚も残っていない、晒された背中の皮は剥がされて火傷や裂傷、打撲の痕も尋常ではない。それなのに、どうして笑うのだ。

 もちろん、誰かが助けに来てくれるなんて甘い考えは微塵も持っていない。あるのは高尚な考えでもないし、立派なものでもない。ただの、意地だけだ。その為に終わりの無い苦痛を味わい続けても、死んでも構わないと思っている。大概、この少年も狂っている。

 瞳の中に揺れる鬼火を、カルファーはずっと消したいと考えている。でも、どうやったら消えるのか分からない。殺せばこの目は何も見る事は無いだろうが、それでは意味が無いのだ。
 王があの時言っていた意味が分かった。地獄の底に叩き落してやりたい。大事に抱えているもの全てを粉々に打ち砕いてやりたい。

 カルファーは裂傷の残る掌を踏み付けた。弛緩していた体がビクリと跳ね、笑みさえ浮かべていた顔に苦悶の表情が浮ぶ。――それでも、炎は消えない。
 それに苛立って力を込めても同じ事だ。カルファーは舌打ちし、踵を返した。

「もっと甚振ってやれ」

 背後で男達が礼をするのが分かった。それと同時に、あの炎がまだ灯っているのも分かる。
 カルファーは、その炎を消す術を模索している。



 ソラはゆっくりと目を閉じた。寝る間も無く、意識を失っても拷問は続く。痛覚はそろそろ麻痺し始め、思考が酷く鈍っている。男達に何をされているのか、何を叫ばれているのか分からない。
 また、意識を失う刹那で呼び戻される。だが、その刹那に見たのだ。

 闇に包まれたこの密室の塔の中、隅にいる自分の姿を。壁に寄り掛かって腕を組んで、こちらをじっと見つめている。一つの蒼い目が見下している。どうして、隻眼なんだ。

――まだ、続けるのか?

 隻眼になっている修羅が訊く。

――あの時みたいに、正気なんざ捨てちまいな。俺に代わっちまえ

 こんな体がまだ欲しいのか。この手は剣を握れない、この足は何処にも行けないのに。居場所も何も持っていないのに、まだ欲しいのか。
 でも、まだやらない。まだ、捨てられないから。

――しょうがねェなァ。もうちっとだけ、待っててやるよ

 修羅の声が、遠退いて行った。